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載貨重量8万2千トン型のばら積み貨物船「KAMSARMAXBC(カムサマックスバルカー)」6年間で第100隻目が竣工

2011年2月8日

常石造船株式会社(以下:常石造船、代表取締役社長:川本隆夫)は、独自に開発した8万2千重量トン型ばら積み貨物船「カムサマックスバルカー」※1 “WANGARATTA”(ワンガラッタ)を、2月8日常石工場(広島県福山市)で竣工し、同船型での通算100隻建造を達成しました。2005年2月に第1隻目を竣工して以来6年間での100隻の建造達成は、常石造船のヒット商品「TESS(テス)」ハンディマックスシリーズ※2が24年間で200隻建造した実績と比べても速く、現在までの受注総隻数が約200隻、過去10年間の世界の8万重量トン級のばら積み貨物船におけるシェアが5割を超える※3、常石造船を代表するヒット商品に成長しました。

「カムサマックスバルカー」の特徴は、パナマ運河※4を通航できるばら積み貨物船のパナマックスバルカー※5の載貨重量トン数を、業界でいち早く従来の7万トン級から8万トンを超える8万2千トンに増加させ輸送効率を高めた点にあります。パナマ運河を通れる船の幅を保ちながら船型の大型化のニーズに対応するために、船の長さに着目しました。このサイズの船の長さとして一般的な225メートルから、ボーキサイトの主要積み出し港のギニア共和国カムサ港の入港制限に対応する229メートルに延長し、4メートル長くすることで貨物倉容量の増大を実現しました。パナマ運河を通れるサイズでありながら搭載貨物量の増加により、国内外の多くのお客さまからご好評をいただき、着実に建造実績を伸ばしています。

搭載貨物量を増大しながらも、経済性や環境性能の向上にも取り組み、船首形状の改善やプロペラ前部に取り付けた省エネ用フィン「MT-FAST」※6などによって波や水流の抵抗を削減し推進エネルギーを効率的に利用することで、燃費が向上しています。当社では建造船のトンマイル当たりのCO2排出量※7削減目標を設定しており、1990年当社製品と比べて2020年までにマイナス40%の実現に向けて改良を重ねています。2014年以降竣工する「カムサマックスバルカー」の最新モデルではマイナス約12.3%、1日あたりの燃料使用量は約30.4トンにまで抑えられています。

代表取締役社長川本隆夫は、「当社の新しいチャレンジにご賛同くださった船主や取引先の皆さまのおかげで、カムサマックスバルカーは今や世界の海運マーケットにおいて存在感を示す船型に成長したと確信しています。今後もより一層カムサマックスバルカーの環境性能、燃費、運航採算性、荷役効率の向上を図り、ご満足いただける船づくりに挑戦し続けます。」と話しています。

※1 アフリカ西岸ギニア共和国にあるボーキサイトの主要積出港、カムサ港に入港できる最大船長229メートルの入港制限に対応していることから命名された。名称の商標を国内で取得、海外多数国で申請中。
※2 「ツネイシ・エコノミカル・スタンダード・シップ」の頭文字をとって命名。1984年に4万トン〜5万トン級のハンディマックスシリーズ最初の船型、TESS40(4万トン型ばら積み貨物船)を竣工。その後、TESS45、TESS52、TESS58と船型のバリエーションを増やし2007年に200隻目を竣工。
※3 下図参照
※4 太平洋〜米大陸東海岸の航路において重要な運河。
※5 石炭や穀物、鉄鉱石などばら積み貨物の国際輸送に従事する商船の中で、船幅、喫水をパナマ運河の可航制限に対応させていることから、パナマックスバルカーと称される。
※6 プロペラの前部に取り付ける複数の翼型の構造物。水流を整えることで、推進効率が約4%向上する。日本郵船グループ会社の株式会社MTIと共同で開発。
※7 1トンの貨物を1マイル輸送する際の燃料使用量から算出。

― 記 ―


カムサマックスバルカー”WANGARATTA”の主要目

船種 載貨重量82,100メトリックトン(mt)型ばら積み貨物船
船名 WANGARATTA (ヨミ:ワンガラッタ)
長さ×船幅×深さ 約229m×32.26m×20.05m
載貨重量トン 82,206mt(メトリックトン)
総トン 43,012トン
主機 三井MAN B&Wディーゼル機関6S60MC-C(Mark7)
馬力 連続最大出力9,710kw×97.4回転/分
航海速力 14.5 ノット


 

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ツネイシホールディングス株式会社 広報・CSR室
担当:宮宗(みやそう)
TEL:084-987-4915