常石造船 びんごデジタルラボEXPOに登壇 ― 経営ダッシュボードと工場DXの取り組みを紹介 ―
9月30日(水)、広島県立ふくやま産業交流館で開催された、福山市主催のIT展示会「びんごデジタルラボEXPO*」の基調講演に、常石造船執行役員情報戦略室長の森悟志が登壇しました。「見える化のその先へ ―常石造船のDX―」をテーマに、経済産業省の「2026年版ものづくり白書」で取り上げられた経営ダッシュボードや、約10年にわたる工場のデジタル化について紹介しました。
DXは経営課題を解決する行動そのものであり、他社の真似事や既製のシステムで済ませられるものではありません。常石造船のDXは、現状把握の即時化、意思決定の迅速化と統制、ビジネスプロセスの最適化、システム環境の標準化の4点を軸に検討をし、以下のような取り組みを進めました。
■ダッシュボードを経営の中心に
経営目標から導いたKPIをもとに全部署の情報をデータベースに集約し、ダッシュボードとして見える化しています。売上・利益や工場の工程、設計部門の出図状況などを、計画と実績を比べる形で表示しています。これにより、国内外のグループ会社や各部門のKPIの進捗が明確になり、意思決定が加速しました。また、経営幹部だけでなく部課長も同じダッシュボードで情報を共有することで、他部署の状況にも関心が向き「どうすれば達成できるか」という視点で積極的に議論するようになったことが、会議を変える鍵になるなど、経営と現場の判断に生かしている点も大きな特徴です。
会場では、実際のダッシュボード画面を映した説明に、多くの来場者が熱心に見入っていました。
■約10年にわたる工場DX
工場では、約10年前から現場のデジタル化に取り組んできました。たとえば、現場で不具合を見つけた際には、これまで電話やメールで伝えていた情報を、スマートフォンで撮影して設計部門に直接知らせる仕組みに変更しました。これにより、迅速に対応できるようになったほか、蓄積された不具合情報を今後の船舶の開発に活用できるようになりました。また、配管の取り付けでは、部材に電子タグ(RFID)を付け、紙の図面の代わりにタブレット上の3Dモデルで取り付け位置を確認できるようにしたことで、作業能率が格段に向上しました。
講演の最後に森執行役員は、DXを進めるうえで最も重要なのは、「何のために」「どうなりたいか」という目的を経営側が明確に言葉にすることだと述べました。また、DX成功の鍵はシステム構築ではなく、現場の協力と、社員一人ひとりの意識と行動の変革にあり、経営側が推進役となることが大切だと伝えました。
会場では、うなずきながら耳を傾ける来場者の姿が多く見られました。
常石造船は今後も、データとデジタルを活用した経営と現場の変革に取り組んでいきます。
*「びんごデジタルラボEXPO」
福山市が主催する、備後圏域の中小企業のデジタル化を推進するための企業向けデジタル展示会・商談会です。AI、IoT、クラウドサービスなどのデジタル技術を持つ企業が集い、技術紹介、実演、個別相談を行います。地域内外の企業・技術者が交流し、情報交換や連携の機会を創出することで、備後圏域全体のDX推進を支援します。