常石造船が参画する既存船のメタノール二元燃料船への改造に関する共同研究プロジェクトのレポートのご紹介 ―KAMSARMAXのメタノール二元燃料化を検証―
常石造船が参画する海事産業の脱炭素化に向けたKAMSARMAXの既存船へのメタノール二元燃料化に関する共同研究プロジェクトについて、Mærsk Mc-Kinney Møller Center for Zero Carbon Shipping(以下、MMMCZCS)より公開されているレポートをご紹介します。
■Retrofit of an 82,000 DWT Bulk Carrier for Methanol Dual-Fuel Capability:
zerocarbonshipping.com/files/retrofit-of-an-82-000-dwt-bulk-carrier-for-methanol-dual-fuel-capability.pdf
本プロジェクトは、MMMCZCSが中心となり、重油焚きの既存船を対象としたメタノール二元燃料化でのレトロフィットの技術的・経済的実現性を検証するものです。海事業界では、2050年カーボンニュートラル実現に向け、既存船の脱炭素化が重要課題となっており、新造船のみならず既存船改造によるGHG排出削減の重要性が高まっています。
今回の研究では、常石造船の主力船型であるKAMSARMAXをベースに、従来の重油焚きの既存船をメタノール二元燃料船へ改造するための設計検討を実施しました。KAMSARMAXを含む中型バルクキャリア(60,000~99,000DWT)は、世界のバルクキャリア船隊の約28%を占め、2018年時点で約6,300万トンのGHG排出量を占める船型とされています。
本研究では、メタノール燃料タンク配置、燃料供給システム、船体構造・復原性への影響、安全性評価(HAZID)、改造工法、経済性分析などについて総合的に検討しました。特に、メタノールは従来燃料に比べエネルギー密度が低いため、燃料タンク大型化が必要となりますが、貨物積載能力への影響を考慮しながら最適配置を検討しています。
また、本設計コンセプトについては、ClassNKよりAiP(Approval in Principle:基本設計承認)を取得しており、技術的成立性および安全性が確認されています。
レポートでは、改造工事期間は約75日、改造コストは従来の重油焚きの新造船価格の約25~30%程度になると分析されています。加えて、可能な限り改造工事を事前モジュール化・オフライン化することで、ドック期間短縮やオフハイヤー期間低減についても検討されています。
常石造船は、世界で広く運航されるKAMSARMAXをはじめとした船隊の脱炭素化ニーズに対し、新造船開発に加え、既存船のレトロフィットを含めた実用的なソリューション提供を推進しています。今後も、次世代燃料技術や環境負荷低減技術の開発を通じて、船舶のライフサイクル全体を見据えた価値提供を進め、海事産業におけるカーボンニュートラル実現に貢献してまいります。
なお、本共同研究の詳細については、Mærsk Mc-Kinney Møller Center for Zero Carbon Shippingより公開されているレポートをご参照ください。
■関連情報:
Retrofit of an 82,000 DWT bulk carrier for methanol dual-fuel capability
https://www.zerocarbonshipping.com/publications/retrofit-of-an-82000-dwt-bulk-carrier-for-methanol-dual-fuel-capability
常石造船、重油焚き既存船の改造を想定したメタノール二元燃料船の設計でClassNKから基本設計承認を取得
https://www.tsuneishi.co.jp/news/p107/