常石造船は三井物産よりCargillを傭船先とする、世界初のメタノール燃料のばら積み貨物船KAMSARMAXの2隻受注に向け基本合意しました。初番船は2025年後半に竣工する予定です。
これまでメタノール燃料船はコンテナ運搬船での受発注が主流のなか、当社はゼロエミッション船の
実現に向け、グリーンメタノール※1を使用したメタノール燃料船の研究開始にいち早く着手し、
本件の受注に繋げました。
KAMSARMAXは350隻以上の竣工を誇る常石造船の最大のヒット船型で、本船は重油に加え、
メタノールも使用可能な二元燃料焚きとして新たに開発したKAMSARMAXです。
独立した大容量のメタノール燃料タンクを搭載した結果、メタノールでも顧客要望を満足する十分な
航続距離を確保しました。
また船型改良等により、従来のKAMSARMAXよりも大幅に燃費性能を向上したことに加え、
当社の独自技術で、TESS64/66シリーズに採用している風圧抵抗低減技術の「AEROLINE」※2を改良し、KAMSARMAXに初採用することで、風圧抵抗の低減による実海域性能の向上にも努めています。
シンプルな構造のメタノール燃料タンクを船尾甲板上に配置したことで、KAMSARMAXの特徴である
大容量の貨物艙を維持しつつ、荷役の安全性や容易さと、乗組員による安全で効率的なメンテナンスを
実現します。
KAMSARMAXの主要目・仕様の大部分を踏襲し、高い汎用性を維持しています。
当社は今後もメタノールのみならずアンモニアや水素など次世代燃料船の研究・開発を加速し、
お客さまに環境性能と経済性を両立したゼロエミッション船をご提供することで、地球環境への負荷軽減に貢献していきます。
▲世界初となるメタノール燃料ばら積み貨物船のKAMSARMAXを受注
Cargillについて:
世界に食品、農産品、金融商品、工業製品や関連サービスを提供する穀物メジャー。
※1 グリーンメタノール:
グリーンメタノールは、回収したCO2(二酸化炭素)と再生可能エネルギー由来の水素から合成された
メタノールや、バイオマスから製造したバイオメタノールを指し、カーボンニュートラルと見なされる。
※2 AEROLINE:
船首や居住区を流線形状とすることで風圧抵抗を約20%低減する独自技術。KAMSARMAXでのAEROLINE採用は本船が初となる。