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アンカーチェーンの跳びはね現象を解明した研究論文が日本船舶海洋工学会論文賞を受賞〜広島大学との共同研究の成果〜

2012年6月1日

広島大学大学院工学研究科(以下、広島大学)と常石造船株式会社(以下、常石造船、代表取締役社長:川本隆夫)が共同で研究した「アンカーチェーンの跳びはね現象の解明」を元にした「上昇する錨鎖の横振動について」の論文が、平成24年の公益社団法人日本船舶海洋工学会論文賞を受賞しました。学術的に未解明であった跳びはね現象を力学的に解明しその防止策を明示したことと、広島大学と常石造船の連携によって成果を得た産学連携の好例であるということが評価されて受賞に至りました。

アンカーチェーンの跳びはね現象の解明は、投錨時のアンカーチェーンがチェーンロッカー内で横振れしロッカー壁を損傷させる問題の解決をめざし、2007年から研究を進めました。実船と同様の現象を再現できる模型試験機を導入してデータ解析を進め、チェーンの長さと投錨時の速度が相互に影響を与え、共振による跳びはね現象を生むことを解明しました。防止策として、チェーンパイプを長くすることでチェーンの見かけ長さを短くし、共振を避け横振動の振幅を減少させることで跳びはね現象を抑える方法を考案しました。ロッカー壁の損傷リスクの低減によって、新造船の品質向上に貢献します。同賞は、船舶海洋工学の学問的業績や新技術の開発の中でも海事産業の発展に大きく貢献した論文や発明考案、技術者を表彰するもので、5月17日には神戸市産業振興センターで表彰式が行われました。

広島大学と常石造船は2004年、船舶の設計や建造、環境保全に関する技術の共同開発を目的に、包括的共同研究協定を締結しました。今後も共同研究体制を生かし、建造船の付加価値や品質向上に貢献する研究を進めていきます。

 ■投錨時のアンカーチェーン挙動を再現するための模型試験機(縮尺10分の1)


試験機実験の様子
チェーンの投錨実験を、チェーンパイプの長さや鎖の引き上げ速度などを変更し、
1条件につき10〜50回実施しました。
記録映像の画面上でチェーンの動きを点で捉え、
グラフ化することにより、チェーンの跳びはね現象の原因を解明しました。

■論文の公開先URL:日本船舶海洋工学会論文集
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjasnaoe/13/0/13_0_249/_article/-char/ja/

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