技術情報

常石の力

奥園一光

常石工場 生産部
塗装グループ 職長

奥園 一光

常石造船では、造船に欠かせない溶接や塗装、ぎょう鉄などの業務において、優れた技能を有し、模範となるスタッフを「匠」として認定している。奥園一光は、2011年に「溶接」の匠に認定された。

常石造船でトップになる。

最初から、会社でトップになってやる! と思ってやっていた。そのためには、どこかで役立つと思って、溶接以外のことも、何でも勉強してきた。
仕事の段取りを確認すれば、前工程のことも知らないといけないし、自分たちの仕事を終えたと思っても後工程もあるから、前後のことを理解すれば、より自分たちの仕事を効率化したり、どうしたら上手くいくかが分かるようになる。知らないことは、若い子にも教えてもらわなくちゃならないから、恥ずかしいこともあったけれど、そうしたことの積み重ねのおかげで、新しい工場の立ち上げなど、やりがいのある仕事にチャレンジしてこれた。

―プロフェッショナルだと思えるのに、どのくらいの時間がかかりましたか?

10年はかかったかな。今の人たちは、頭がいいから知識だけで分かった気になるけど、そんなに簡単じゃない。現場で人との付き合いを通じて、体を使って覚えていく。そうして仲間との信頼関係を築くことで認められて、本当にプロになったと感じられるんじゃないかと思う。

何でもやる。それが血肉になる。

フィリピンでも中国でも、工場の立ち上げには率先して行かせてもらった。工場の立ち上げみたいな新しいことでは、自分の職務が何かは、関係なくなる。とにかく何でもやったよ。中国(舟山)では、門型のクレーンが一基あったけれど、レールは最後まで出来ていないような状態。1メートルずつコンクリートを固めてレールを引いて…、そうやって最初の船を造ったんだ。(笑)だから、自分はこの仕事で来てるから、それ以外はやらない、なんてことは言っていられない。足場を組んだり、検査に必要な役割を担当したり、皆で協力して、工場の建設と同時に船を造っていった。その経験は、パラグアイでの新工場で現地スタッフに技術指導する際にも役立った。

人を大事にする文化を継承したい。

―これからの常石造船に必要なことは何でしょうか?

新工場の立ち上げでは色々な苦労があった。それでも頑張れたのは、やりがいがあったのもそうだけど、人を大事にしてくれた会社のおかげ。
社長は現場の人間の名前をみな覚えていて、声をかけてくれた。やはり、そうした人間味に触れて、よし頑張ろう! 俺らで成し遂げよう。そういう気持ちだった。
常石造船には、そうした良い文化がある。これからもそれを大事にしたい。自分も朝の挨拶は欠かさず、その人の顔色を見て、体調のことや気持ちの持ちようまで把握しようと努めてる。仕事を円滑に進めるためには、そうしたことが必要だと思う。
効率化や合理化、数字による管理はもちろん大事だけれど、人の気持ちがついていかないと、何も生み出せない。それには泥臭い仕事も必要だし、誰かがやらなくちゃならない。人を大事にする文化は、口だけではなく、体現しないと伝わらない。私たちは、そうしたことを社長や先輩の立ち居振る舞いから学んだ。これからも是非継承していきたい。常石造船にとって、とても大切な文化だろうと思う。

夢を持とう。夢があれば越えられる。

大きな不景気も度々あったし、きついこともあった。辞めたいと思うこともあったけれど夢があった。あの当時の一般的な夢だったけれど、家族を幸せにしたい。生活を充実させていきたい。そうした想いは、困難に立ち向かう時の支えになっていたと思う。
時代は変わったから、同じようなものではないだろうけれど、若い人たちにも、大きな夢を持って仕事に取り組んでほしい。

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