技術情報

常石の力

國本高義

常石工場 生産部

國本 高義

常石造船では、造船に欠かせない溶接や塗装、ぎょう鉄などの業務において、優れた技能を有し、模範となるスタッフを「匠」として認定している。國本高義は、2009年に「運搬」の匠に認定された。

妥協なきストイシズム。

匠だからと言って、何か特別な仕事をしてきたわけではない。ただ自分のやっている仕事に自信を持ってやってきた。自信を持つためには、勉強もせないかん。向上心を持ち、終わった仕事を振り返り、他にもっと良い方法がなかったかどうか、常にどうすれば良くなるのかを考えて、次の機会にやってみる。そう考えて、成長してきたように思う。
後から思ったけれど、何かに優れているということや、仕事ができるというのは、自分が評価することじゃない。運搬であれば、誰かがあの運転手で良かった、と言ってもらえることなんだよ。

―仕事で大事にしてきたことは何ですか?

妥協しないこと。だから、職務を全うする、現場を動かすのに譲れないことは、上役の人とも大いに議論してきた。同時に、一緒に働く仲間を守ることと安全を最も大事にしてきた。

基礎を疎かにしないプロ意識。

クレーンの操作は、最初から上手かった。(笑)けれど、一度クレーン操作をしていた時に、事故を起こしそうになったことがある。自分を過信していたのかもしれない。そうした怖い体験から、慎重さを覚えた。
それからは、とにかく安全が一番大事だという初心を忘れず、慣れや気の緩みから事故が起きないようにしているし、その兆候は見逃さないように指導している。

「当たり前」が一番難しい。

当たり前のことを当たり前にこなすこと。これが一番難しい。運搬は、工場の全てのフィールドに関わるから、多くのことを理解していないといけない。運ぶ物の特性、設備の能力、その工程で行われる業務などだ。
運搬の仕事の仕方一つで、作業の進捗や効率が変わってしまうから、現場を徹底して知り、他部署の業務の理解も深める努力が欠かせない。当たり前のことを当たり前にこなせるように、日々の小さな気づきを、工夫を持って改善していく必要がある。

精一杯仕事をしよう。

―今後、若い人たちに何を伝えていきますか?

フィリピンや中国の工場の立ち上げに行かせてもらった。今考えれば、こうした経験が大きな糧になっていると感じる。だから、若い人たちには、積極的に海外勤務についてもらいたい。若い人はたった数ヶ月の海外出張でも、みちがえるほどたくましく成長して帰ってくる。
それと、とにかく精一杯自分の仕事をする。現状に満足せず、向上したいという気持ちを常に持ち続けて欲しい。でも、骨太の若者が育ってきている実感もあるし、常石の未来は明るいな、と感じるよ。自分の教えた子らが、現場を仕切っているのを見ると、やっぱり嬉しいね。

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