常石造船が開発したKAMSARMAXは、他社の追随を許さない勢いで業界標準となった。その軌跡を追う。
常石造船が開発したKAMSARMAXは、他社の追随を許さない勢いで業界標準となった。その軌跡を追う。
中国などの経済成長に伴い、国際海上物流量の大幅な増加が見込まれていた2000年代初頭。常石造船は、海運マーケットにおいて、パナマックスバルカーの大型化ニーズがあることを捉え、8万トン級バルカーの開発に着手。カムサール港へ入港できる最大サイズを擁する本船を「KAMSARMAX(カムサマックス)」と名付けた。
2月。常石工場で第1番船を竣工。
冬晴れの瀬戸内海に悠然と進水した本船は、10年に渡って200隻を超えるベストセラー製品になり、その名「KAMSARMAX(カムサマックス)」が業界標準として親しまれてきた。
マーケットインの発想で、常識を破ろうと挑んだスタッフの情熱が成し遂げた、大きな成果だ。
2005年に採択された「共通構造規則(CSR)」、2006年に採択された「燃料油タンク保護」による燃料油タンクの二重構造化に対応。
構造強度を高めるためには、船体重量が増してしまうが、ここでも設計者たちは、アイデアを巡らせた。規則への対応で重量は増加したが、82,000トンの載貨重量を確保しつつ、さらに燃費向上も実現した。
これからは、高い品質を維持すると同時に、環境に配慮した船舶でなければならない。
常石では建造船のCO2削減目標を、独自にロードマップし、改善を続けている。リニューアルをするたびに燃費を向上してきた「KAMSARMAX(カムサマックス)」は、さらなる価値を生み続ける。